เข้าสู่ระบบずっと恋愛なんてそっちのけで仕事一筋にバリバリやってきた、いわゆるバリキャリ女の二十八歳・尾崎茜は、酔い潰れた翌朝、まったく見憶えのない部屋のベッドで下着姿で目を覚ます。 そこはなんと、同じ会社に勤める社長の御曹司で、二つ年下の冴島稜也の部屋だった! 自分には恋の才能がないんだと嘆く茜に、彼は言う。「僕はずっと、茜さんのことが好きだったんです」と。そして、「僕と付き合いませんか」と交際を申し込んできて……!?
ดูเพิ่มเติม「――ん……?」
その朝、ベッドの上で目を覚ました私――
「ここは一体どこなの……?」
まず、ここは自分が一人暮らしをしている賃貸マンションの部屋ではないということ。明らかに部屋の広さが違うし(私の部屋はもっと狭いのだ)、間取りも違う。そしてベッドの広さも、マットレスの硬さも。私が使っているベッドはシングルサイズだけれど、このベッドは明らかにダブル以上の広さがある。
そして、自分が今服を着ておらず、下着姿であること。下着とはいっても色気の欠片もないダークグレーのスポーツブラとショーツのセットの上からキャミソールを着ているだけなのだけれど。
……そういえば、ものすごく頭が痛い。これも違和感の一つといえばそうかもしれない。
「えっと……、
私は自分の記憶を手繰り寄せる。昨夜は確か、誰かと都内のバーでお酒を飲んでいた。アルコールにそれほど強いわけではない私は、しこたまアルコール度数の高いお酒を飲みまくり、記憶がなくなるまで酔い潰れたのだろう。その後の記憶は一切ない。
では、その「誰か」とは一体誰だったのか。この状況からして同性だったとは考えにくいので、多分男性だろう。それも、一緒に飲みに行くような仲だろうから、おそらくは同じ会社の人間。財布の現金も減っていないし、クレジットカードを取り出した形跡もないので、私は自分の飲み代を支払っていないらしい。ということはその人物の
「そんな人、ウチの会社にいたかな……?」
私は大手商社の〈
そんな人と、酔い潰れた状態で万が一にも何かあったとしたら……? 私はその男に一生分の弱みを握られたに等しい。私の今後のキャリアにも傷がつくかもしれない!
「……どうしよう……」
私はこれがとんでもない事態だと思い、絶望感に襲われた。――とりあえず帰ろう。そして、昨夜のことは悪い夢だったと思ってさっさと忘れるのだ。
さあ着替えなければとベッドを抜け出そうとして、またひどい頭痛に襲われる。二日酔いがこんなにつらいものだなんて思わなかった。
「……あ、茜さん。目が覚めました? 二日酔いみたいですけど、大丈夫ですか?」
そこに聞こえてきたのは、ものすごく聞き憶えのある男の声。
「あ、あなたは……冴島くん!?」
声の主はなんと、同じ部署で働く社長の
私は自分が下着姿だったことを思い出し、なけなしの
「――尾崎チーフ、それって……」「データが丸ごと改竄されてるの。おそらく室長の仕業ね。まさか、ホントに仕掛けてくるなんて」 青ざめる堀内くんに私は答え、盛大なため息をついた。「室長が!? でも、どうして……」「あの人、私のことを目の敵にしてるから。あなたがミスをしたことにして、この案件をあなたに任せた私に責任を取らせようとしているんだと思う。前にもこんなことがあって、私も一緒にお詫びに出向いたことがあったでしょう?」「はい。じゃあ、あれもわざとだったってことですか? ……でも、本当にこれ、室長がしたことなんでしょうか」「それはこれから分かるわ。――冴島くん、防犯カメラの映像を見せてくれる? 確か昨日、室長はひとりで残業していたわよね」 私はたまたますぐ近くにいた稜也くんを呼び、彼のスマートフォンに保存されているであろう昨夜の映像を確認させてもらうことにした。 そして、遠藤室長が昨夜、珍しく残業していたのは事実だった。「はい。昨夜の映像ですね。こんなこともあろうかと、キチンと保存してありますよ」「……チーフ、『防犯カメラの映像』って何ですか?」「ああ、そっか。堀内くんは知らなかったっけ。この部屋には防犯カメ
――それから数日後の午後。堀内くんがやっと終わらせた大きな案件の企画書を私に提出した。 彼は紙に印刷したものではなくデータの入ったUSBメモリーを持ってきたので、パソコンで読み飛ばしのないよう真剣にその内容に目を通していく。「……うん、この内容で大丈夫だと思うわ。堀内くん、ご苦労さま。よく最後までやり遂げたわね」「ありがとうございます、尾崎チーフ。チーフが色々と丁寧に教えて下さったおかげです」「ううん。私はただ、上司としてあなたのやる気に応えただけ。あなたは真剣にこの案件に取り組んでくれたからね。――この企画書、明日の午後の会議で発表するから室長にも『尾崎チーフからのチェック済み』ってことで提出しておいて」「はい」「あ、その前に。何かあった時のために、こっちでバックアップ取らせてもらっといていい?」「……どうぞ」「ありがとう」 私は自分のUSBメモリーもパソコンに差し込み、堀内くんが提出してくれた企画書のデータをそこにコピーしておいた。 遠藤室長に提出するにあたり、私にはどうもイヤな予感がして仕方がないのだ。この件を彼に任せたのは私なので、当然何か不測の事態が起きた時に責任を取るのも私ということになる。 もし、その〝不測の事態〟を遠藤室長がわざと作り出したとしたら……。「……あの、チーフ? 『何か』って?」「ああ、ううん。何でもないの。私の考えすぎかな。とにかく、室長へ
――怜司は私に執着しているらしいので、連絡の取れたヤツがノコノコやってきたことは以外でも何でもなかった。「何なんだよ、茜? 『みっともねえから私に関わるな』って言ったんじゃなかった……の……か、あれ? 陽菜美がなんで……」 彼は文句たらたら言いながらタクシーから降りてきたけれど、ここに警察と陽菜美さんがいることに気づいて固まった。「やっぱり、彼女の言ったとおりだったのね。怜司、あんたこの女と付き合ってるんだ? まだ私に固執してるくせにねー、やってること矛盾してない?」 「えっ? ……ああ、そうだよ。でも、もうホントにお前のことは諦めるつもりだったんだよ。だから矛盾はしてねえだろ?」「まあねー。でも残念だったわね。あんたさ、この女に利用されてるだけよ? さっき本人がそう言ってたから」「……何だって? それホントなのか、陽菜美?」「おっと、ここで痴話ゲンカはやめてもらえる? そんなこと、私は興味ないから。それより怜司、あんたよね? この女のスマートフォンに私の写真送ったの。そのせいで私、さっきそこの男たちに襲われそうになったんだけど。この女に雇われたんだって。あんたどう思う?」「マジかよ!? 確かに俺、陽菜美にお前の写真が欲しいって言われてスマホに送ったけどよ。まさかこんなことに使われるなんて思わなかったんだ。ホントだよ! 信じてくれ!」
――それから十数分後。何も知らない陽菜美さんが、黒塗りの高級外車の後部座席から降りてきた。私と稜也くんの他に、制服警官二人と手錠をかけられうなだれている二人の男がいることに気づいて固まっている。彼女は憶えているはずだ。彼らが、私に危害を加えるために自分がお金を払って雇った相手だということを。「ちょっと……、これはどういうことなの!? 稜也さん、わたしのことを騙したんですか!?」 彼女は自分がしたことを棚に上げて、稜也くんに対して怒りを露わにした。「どういうことなの!?」とはおそらく、どうして私が傷ひとつ負っていなくて、彼らが警察に捕まっているのかということに対してだろう。言い換えれば「失敗ったわね、あんたたち!」という台詞になるだろうか。まー、お嬢さまのくせに品がないこと。「〝騙した〟なんて聞き捨てならないですね、陽菜美さん。もう僕につきまとわないと言ったのはどこのどなたでしたっけ? 挙げ句お父さまと二人で会社まで抗議しに来るわ、茜さんに危害を加えようとするわ。もういい加減ウンザリなんですよ、あなたには」 今日の稜也くんはいつもに増して冷酷だ。完全にブリザード化していて、六月だというのに周りの空気が凍り付きそう。こんな彼、私は初めて見た。「陽菜美さん、あなたでしょう? こいつらに十万ずつ渡して、私を襲うように命じたのは。二人とも、もう自白してるわよ」「……っ!」 彼女は悔しそうに歯ぎしりしながら私を睨んだ。これは肯定だと受け取っていいだろう。